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経営の傍らに 生活のそばに よりそう羅針盤でありたい
 ★Q1 年金の決定等で納得できないときは不服申立制度を利用するとよいと聞きました。どのような制度でしょうか?

★Q2 失業給付の調整による年金選択とはどのようなしくみでしょうか?

★Q3 老齢厚生年金の満額支給が規定の支給開始年齢より早くできるしくみがあると聞きました。どのような場合でしょうか?

★Q4 私は厚生年金には37年加入の60歳になる会社経営者(男性)です。現在、役員報酬は月80万円、今後も続きます。年金の請求手続は65歳で行った方が多くもらえると聞きますが、本当でしょうか?

★Q5 夫は加給年金が加算された老齢厚生年金を受給中です。私も定年退職で、27年加入の老齢厚生年金を60歳から受給し始めたところ、夫の年金についている加給年金がなくなりました。どうしてでしょうか?

★Q6 年金受給後に離婚後内縁関係になった場合、引き続き加給年金は支給されるのでしょうか。

★Q7 年金受給者の税金天引きはどのような年金額におこなわれるのでしょうか?



Q1 年金の決定等で納得できないときは不服申立制度を利用するとよいと聞きました。どのような制度でしょうか?

 

年金などのさまざまな給付の不支給や支給の決定に不服がある場合、その決定の取消を求めるため不服申立てができる制度があります。 一般的な争いでは、裁判に訴える、となりますが、社会保険における、傷病手当金や年金の不支給、年金の支給停止、年金額の改定などについては、直ちに裁判所に訴えることはできません。 社会保険審査官に「審査請求(第1次)」を行い、そこで主張が認められないときは、社会保険審査会に「再審査請求(第2次)」を行い、そこで認められない場合、初めて裁判所に行政訴訟が可能になるものです。これを審査請求前置主義といい、2審制となっています。 例えば、遺族厚生年金を請求した妻が、「死亡した夫と生計維持関係が認められず厚生年金保険法の遺族とならない」とされ、不支給の決定通知がなされ、妻が「その理由に納得できない」というような場合です。

 

審査請求

遺族厚生年金の不支給の決定の処分のあったことを知った日(一般にはその通知を受け取った日)から60日以内に社会保険審査官(地方社会保険事務局に最低2名が常勤)に審査請求しなければなりません。まず、口頭(電話も口頭とみなす)で審査請求をする旨の意思を伝え、申立てをします。その後、所定の必要事項(審査請求の趣旨および理由など)を記載した書類で、「遺族とみなされる」ための生計維持関係の根拠やその証明資料を提出し、反論することになります。その結果、主張が認められる「容認」、主張が認められない「棄却」、60日過ぎの請求などでは審理を経ないで「却下」の3種類の結果があり、いずれかが下されます。

 

再審査請求
 審査請求に対して「棄却」「却下」が決定され、このままでは納得できないという場合、その決定書を受け取った日の翌日から60日以内に、社会保険審査会(厚生労働省内に設置、)にさらに再審査請求ができます。基本的には決定方法は審査請求と同じ考え方となります。再審査を行う審査会は16名の合議制で公開の口頭審理を行うなど、幅ひろい意見のなかで決定されます。 不服申立には費用がかかりませんので、社会保険の給付などの不服がある場合は、一般の方もこの制度をよく知って、もっと活用することが必要です。ただし、複雑な案件であれば、社会保険労務士や弁護士等の助言を得て審査を請求した方がよいかも知れません。

 

Q2 失業給付の調整による年金選択とはどのようなしくみでしょうか?

 

現在は、老齢厚生年金と雇用保険の失業給付の受給権が同時にあるときは、両方を一緒に受給できません。なぜなら、厚生年金はリタイア後、雇用保険は失業時における生活保障的な性格をそれぞれが持つため、重複支給は好ましくないとされるためです。

しかし、すべての厚生年金と雇用保険からの給付が調整対象になるわけではありません。 厚生年金の給付で調整対象となるのは、65歳未満に支給される「特別支給の老齢厚生年金」のみです。 昭和20年11月生まれの男性では、60歳から報酬比例部分が支給され、63歳からそれに定額部分や加給年金が加わり(いわゆる満額支給)65歳になるまで続きます。この年金を「特別支給の老齢厚生年金」といいます。つまり、65歳以後に受給する「老齢厚生年金」や65歳未満にでも受給する障害・遺族年金は調整対象にはなりません。

 一方、雇用保険の給付で調整対象となるのは「基本手当」のみです。雇用保険の一般被保険者(短時間も含む)が失業した後に、ハローワークに行って求職の申込をし、再就職先が見つからないことにより受給できるのが「基本手当」です。 他の「再就職手当」や季節雇用者である短期雇用特例被保険者が受ける「特例一時金」などを受給しても、年金が調整されることはありません。

 

事例解説
 Y子さんは遺族厚生年金108万円(月9万円
)を受給中ですが、まもなく60歳定年退職します。60歳からは特別支給の老齢厚生年金120万円(月10万円)が受給可能、一方、雇用保険の基本手当(30日分相当で16万円)も受給が見込めます。Y子さんの年金選択は以下のとおりです。

 A:求職の申込をして基本手当を受ける場合、年金は全額支給停止になりますが、年金は受給できます。そのため、年金を選択する手続がベストです。

 B:求職の申込をしない場合、あるいはAの経過後は、年金の受給になりますので、額の多い方の年金を選択する手続がベストです。

なお、年金の選択替えはいつでも将来に向かってできますのでご安心ください。

 

Q3 老齢厚生年金の満額支給が規定の支給開始年齢より早くできるしくみがあると聞きました。どのような場合でしょうか?

 

現在、老齢厚生年金の満額支給開始年齢は、昭和16年4月2日(女性は5年遅れ)以降生まれから、61歳、62歳・・・と繰上がっていますが、これら年齢前の最大60歳から満額支給を開始してもらえる特例が二つあります。

障害の状態が年金法に定める3級以の等級に該当することであり、厚生年金の被保険者でない、つまり退職していることが必要です。在職中でもパートなどのように労働時間等が短くて厚生年金の被保険者とならない場合でも満たします。

厚生年金の被保険者期間が45年(528月)以上であって、と同じように退職していることが要件です。

 なお、
の場合は年金事務所がその要件を満たしたことを把握しますので、自動的に年金額を改定してくれますが、の場合は、障害の状態がわかる診断書を提示して申請が必要となります。障害等級の3級以上という要件は、現実に障害年金を受給していなくても、初診日が厚生年金の加入中でなくてもよいのです。障害認定日(原則、初診日から1年6ヵ月経過した日)以後である60歳以降に障害の状態が3級以上と確認できればよいのです。

ほんの一例ですが、人工関節挿入置換、人工透析療法中(2級)、心臓ペースメーカー装着等は3級以上となっております。ご自分が該当するかもしれないと思ったときは、速やかに申請をしなければ、遡っては認めてもらえませんから注意が必要です。

Q4 私は厚生年金には37年加入の60歳になる会社経営者(男性)です。現在、役員報酬は月80万円、今後も続きます。年金の請求手続は65歳で行った方が多くもらえると聞きますが、本当でしょうか?

 

年金の受給権が発生した時が年金の裁定請求の手続を行う時期であると認識しましょう。年金が実際に支給される時期と必ずしも一致するものではありません。

 今年60歳を迎えるのであれば、報酬比例部分の年金が60歳から64歳まで5年間発生し、65歳から報酬比例部分に定額部分が加算され、いわゆる満額の年金の権利が発生することになります。つまり、年金の開始は60歳到達ということですので、年金の「裁定請求書」を提出する手続を行わなければなりません。

手続後、年金の受給権のある証である「年金証書」が送付されます。その上で、60歳以降に在職中(厚生年金の被保険者)の場合、その月の報酬額と年金月額とで一定の計算の末、実際に支給される年金月額が算出されることになります。

 80万円という高報酬が続くのであれば、その間は年金が全額支給停止になります。支給停止とは、その間の年金がもらえないということです。60歳になる3ヵ月前に「裁定請求書」用紙が送付されますので、60歳の誕生日以降に手続きをしてください。

 

Q5 夫は加給年金が加算された老齢厚生年金を受給中です。私も定年退職で、27年加入の老齢厚生年金を60歳から受給し始めたところ、夫の年金についている加給年金がなくなりました。どうしてでしょうか?

 

加給年金とは、「老齢厚生年金」のいわゆる満額支給時に生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいれば加算される家族手当のようなものです。 一般的に片働き夫婦では、加給年金の加算は、配偶者が65歳に達するまでで、その後は替わりに配偶者の老齢基礎年金に「振替加算」額が加算になります。

 一方、共働き夫婦では、配偶者が受給する下記のような場合、65歳前でも加給年金が支給停止になったり、妻には振替加算がないということが起こります。

老齢厚生年金であれば、その厚生年金加入が20年以上などのとき
退職共済年金であれば、その共済年金加入が20年以上あるとき
障害基礎(厚生)年金の受給権者であるとき

 なお、配偶者が30年でも40年でも加入した老齢基礎年金を、例え60歳から繰上げ受給しても、加給年金は支給停止にはなりません。

さて、ご相談者の年金がのため、もらえなくなったのです。また妻には振替加算も今後ありません。 以上のように、共働き夫婦では加給年金や振替加算がないので、損と思われがちです。しかし今後は、夫婦の年齢差などによっては加給年金の加算期間は短く、また、夫が在職中などで年金が全額支給停止の間、妻は加給年金を受給できることもあり、一概に損得は言えません。

 

Q6 年金受給後に離婚後内縁関係になった場合、引き続き加給年金は支給されるのでしょうか。

 

例えば、夫が60歳からの特別支給の老齢厚生年金の受給後、一時期夫婦関係が破綻し、合意で離婚届を提出したものの、引き続き同じ世帯に暮らしていて、離婚前と何ら変わらない状態にある場合(離婚後内縁関係)は、夫と妻は生計維持関係ありということで、年金受給については何ら変わることがないように思えます。

しかし、一旦、離婚届を出したということは、法定主義により、夫に支給されていた「加給年金」は、離婚と同時に失権し受給できなくなります。ただし、60歳前の年金受給権発生前にすでに離婚後内縁関係の状態にある場合は、年金受給権発生時に内縁関係ありとして、加給年金の対象者として認められます。

なお、年金受給権発生前でも、60歳以降の年金受給者でも、離婚後内縁関係にあって死亡した場合は、妻は遺族とされ、遺族厚生年金を受給できることになります。このように、年金の受給権発生以後に離婚後内縁関係にある場合は、加給年金対象者としては認められず、遺族厚生年金の受給権者としては認められることになります。

 加給年金が失権するということは、妻の振替加算も認められません。年金受給後の軽はずみな離婚届の提出は要注意です。

 

Q7 年金受給者の税金天引きはどのような年金額におこなわれるのでしょうか?

 

老齢や退職を支給事由とする年金は雑所得として所得税が課され、年金から天引きされています。なお、遺族や障害の年金は非課税となっています。

具体的には、老齢厚生年金、老齢基礎年金、退職共済年金の他、国民年金基金、厚生年金基金などが課税対象です。課税は、年金収入から一定の公的年金控除額を差し引いた残りに行われるため、65歳未満で年金収入が108万円未満、65歳以上で158万円未満のときは原則として所得税はかかりません。
 現在は、介護保険の他、国民健康保険、後期高齢者医療制度の各保険料、住民税も年金から天引きされています。